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タイで戒厳令~軍事クーデターの行方

投稿日:2014年5月24日 更新日:

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タイ陸軍のプラユット司令官は22日、国営テレビ放送で陸軍が全権を掌握したと発表し、事実上のクーデターを宣言、陸海空3軍と国家警察で構成する「国家平和秩序評議会」が行政権を掌握すると発表した。またタイ全土に夜間外出禁止令(午後10時~翌朝5時)を発令したほか、5人以上の集会を禁止。さらに全てのテレビ、ラジオで通常番組の放送を禁じ、テレビ放映は全チャンネル静止画像(音楽)が流れ、時折、スポークスマンによる現状報告や国王の映像が流されるなど情報統制が敷かれている。(翌23日の午後6時頃から限定的な同内容の報道番組が始まり、その後、通常放送に戻るかと思われたが22時過ぎ頃から再び静止画像に戻るという状況が続いている・・。24日から段階的に解除)

またクーデターに伴ない憲法を一時停止、タクシン派政権を解任する一方で、選挙委員会など憲法で規定された独立機関、裁判所、上院といった反タクシン派寄りの組織は存続させている。これまでの流れを振り返れば反タクシン派寄りのシナリオは着々と進行していたと推測される。昨年末、インラック政権はデモ騒ぎの収拾を図るべく、民意を問うとして下院解散~総選挙に打って出たが2月の下院選は民主党のボイコットや反政府勢力の妨害によりあやふやなものに。そして、3月末、憲法裁判所はこの下院選を無効とする判決を下した。さらに今月7日には高官人事をめぐる職権乱用を理由にインラック首相と閣僚9人を解任へと追い込んだ。またコメ買い取り制度をめぐる汚職問題や巨額の損失に関しても上院で弾劾にかけるとしている。窮地に追い込まれたタクシン派政権は副首相を首相代行とし下院選のやり直しを求めていたが反政府勢力は断固として拒否し続けた。

3月末には上院選挙、今月9日には上院の議長選挙が行われたが反タクシン派と言われるスラチャイ上院議員が選出された。タイ上院は議員(定数150人)のうち77人が選挙で選ばれ、残り73人が憲法裁など独立機関の代表で構成する委員会により任命されるが、選挙・選出後の上院の勢力図は反タクシン派が優勢となった。スラチャイ氏は2007年の軍事政権下で制定された現行憲法の起草に携わった人物だという。そして今月20日、タイ国軍は政治混乱を収束させるとして戒厳令を布告。更に翌21、22日に行われた会合でも反タクシン派が要求する内閣総辞職に対して政府側が譲歩の姿勢を見せず収拾がつかないとしてクーデターへと踏み切った。

プラユット司令官は前アピシット政権時の2010年にタクシン派団体(UDD・赤シャツ)による反アピシット政権デモの強制鎮圧を指揮し、その後、陸軍司令官に昇進した人物。当時の首相はアピシット氏、副首相はステープ氏という関係性からも今回の反政府・反タクシン派が求めていた軍事クーデターを起こした経緯が窺える。以上のことから、今後は軍事政権下の暫定政権がしばらく続き、タクシン派の復権を阻止すべく、独立機関や上院主導での下院、選挙制度の改革が行われるだろうことが予測される。

戒厳令に伴う情報統制下、タイの一般市民はインターネットを介して情報を得ようとしているが、フェイスブック等のSNSもサイバーポリスが閲覧監視しているため、政治批判や治安を乱すような書き込みは控えている様子である。そんな中、タイ嫁から聞いた興味深い話がある。それは数日前からの出来事だが、イングランド人と国際結婚し現在イングランドに住んでいるあるタイ人女性が自撮りの動画をフェイスブックで投稿し続けていた。彼女は自分はタイ人だがもうタイにはうんざりだ、そして今はイングランド人だといった内容の発言をタイ語でニヤニヤ不敵に笑いながら繰り返し、タイの現状を時代遅れだと批判し、赤色系を支持する発言をし、更には王室の在り方を批判し、手に持ったラマ9世の書籍を足裏で踏むような挑発的行為を繰り返す見ていて不愉快になる動画を投稿していた。嫁を含めそれを見たタイ人たちはその行為に怒り、ネット上に動画をシェアし彼女を糾弾すべく動いた。そして数日後、関係者に情報が届いたのか、彼女は不敬罪によりイングランドから強制送還され逮捕される顛末に至ったという。おそらくイングランド政府に引渡しを要求したのだろう、彼女は旦那とも離婚する運びになったそうな。

情報統制下、何が真実でどこまでが本当のことなのかは分からない。そして外国人の僕にはタイのことをあれこれ言う権利もない。ただ、タイ国軍介入によりダラダラと続いたデモ騒ぎが一応ながら収束の方向へ向かっているのは喜ばしいことである。昨今の世界情勢を見渡せば何が真の正義で民主主義なのかもはっきりしない世の中。タイにはタイなりの自前のやり方があるのだとも思う。そして、軍事クーデターという物々しい言葉とは裏腹に、周囲を見渡せば、のほほんと陽気に暮らすタイ人の笑顔があり、寺院に足を向ければ熱心にタンブンに励む仏教徒の姿がある。あとは歴史という時間が答えを出すだけだ。そして、そんな情勢をよそに僕はただ今晩のチャンピォンズリーグ決勝がテレビ放映されるかどうかを案ずるのであった。

【在タイ日本国大使館】 タイ渡航情報
【Newsclip】 政治ニュース

 

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