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パタヤドリーム★一発逆転イサーン出稼ぎ紀行

投稿日:2015年4月11日 更新日:

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南国特有のうんざりするような雨がちの曇天模様がじめじめと続く雨季のある晩のこと。タイはパタヤにもう10年以上も住みついている長期滞在者の一人、徳(トク)さん(仮名/50代)はいつもの日課と言わんばかりに、賑やかな通りからは幾分離れたいわゆる場末のバービアで暇を持て余しているタイレディと談笑しながらチビチビ酒を嗜んでいた。ローシーズンさながらパタヤのネオン街は閑古鳥が鳴いている店がそこかしこに見受けられるが、そんな繁華街からも更に離れた通りはといえば、現地価格の屋台や食堂、格安宿にアパートが軒を連ね、地元民(タイ人)が入り混じる、いわゆるローカルエリアとして特に欧米人を筆頭とした長期滞在者に重宝されている。日常会話程度のタイ語なら不自由なく話せるトクさんにとって、軒先で頬杖をつき、携帯をいじりながら暇そうに座っているバーレディにタイ語を投げかけるのは半ば趣味の一つのようなもので、滞在歴の長さに比例して馴染みの店も増え続ける一方であった。

場末にひっそり佇むナイトバーのネオンライトを見つけると蛍光灯に群がる虫のようにふらり足を止め、ひやかし半分のタイ語を投げかけ、反応がよければ店に入り一杯ひっかける。そんなパタヤ生活を毎日のように繰り返す欧米人の長期滞在者は多くいるが、トクさんはその日本人版といった感じで生来の話し好き、世話焼き屋な性格もあってか、バービア関連のネタ話は尽きない程であった。そんなトクさんがパタヤのあるエリアで、ある意味、生きる伝説を残した逸話がある。

それはある晩、いつものようにふらり入った場末のバービアでのことだった。ショップハウスと呼ばれる3階建て物件(テナント)の1階部分をバーに改築したパタヤではどこにでもあるようなバービアで、女性は総勢10名にも満たない程度。タイレディというより見るからに浅黒いイサーン(東北出身)のオバサンたちという雰囲気の店である。店内では常連?と思しき老人ファラン(欧米人)が数名、各々女性を隣りに座らせ、タイビール片手にくつろいでいるご様子である。トクさんは、その日も得意の調子でジョークを飛ばすと、数分後には(つかみはOK!とばかりに)タイ語を流暢に話す面白いコンニップン(日本人)だと皆が興味津々に群がってきた。

トクさんは一通りお決まりの定番ジョークを終えると(ずっこけギャグを挟みつつ)ようやく軒先に腰を落ち着け酒を注文した。このとき、傍に集まってきた皆の視線は常にトクさんへと注がれ続けている。次はいったいどんな面白おかしい言動をするのか見守っているのである。そして、トクさんは満足げに女性たちの表情をしげしげと見比べながら、ウケ具合を確認するという按配である。そんな中、皆の後方から訝しげにトクさんのことを眺めている女性がいた。見るからに田舎から出てきたばかりの客慣れしていない雰囲気で、ムリヤリ身につけたような派手なセクシー衣装と厚化粧が一層その全体のバランスを崩している。すかさずトクさんはその女性に向け「ここに来て間もないの?どこから出てきたの?」と言葉を投げかけた。すると外国人と話したことがないのか恥ずかしそうに「ウボン」とだけ答える彼女はパタヤに出てきてまだ数日しか経っていないという。そして、もじもじしている彼女をフォローするように周りの皆が次々に彼女のことを口にし始めた。

ダオ(仮名/40代前半)は、この店に数人同郷の先輩がいることからパタヤへとやってきた。田舎の旦那の酒ぐせ&浮気ぐせ&賭博ぐせに嫌気がさして離婚(子持ち)と、タイ特にパタヤの夜の世界ではよく聞く話だが、それは若くても年をとっても変わらないタイ人の性質のようでもある。そして、タイ人男にうんざりした(諦めた)タイ人女性は外国人との結婚を視野に入れ始めるのだ。田舎の集落ではご近所さんの娘が外国人と結婚し建ててもらった家に車。住まいの軒先では雑貨屋や屋台等の商売も始めて。と周囲からは目立つ存在があり皆の羨望の矛先ともなる。そして、では私も!と親戚や田舎の知人を頼ってパタヤへと甘いサクセスストーリーを夢見て、イサーンから出稼ぎ半分、伴侶探し半分で出てくるという流れ(経緯)である。

「ダオは働き者で純粋な田舎者だからいいパートナーを見つけてあげたいんだ」と語る同郷の先輩オバサンたち。その前に自分らの旦那探しだろっ!と突っ込みたかったトクさんであったが、実は彼女たちがダオに優しく接しているのにも理由があって、聞くとパタヤ初日にめでたくファラン親父に連れ出されたのはいいが何やら散々な目に遭わされたのだという。その具体的内容を尋ねたくなったトクさんだったが、すでにその場の空気は幾分張り詰めており、更に突っ込んで聞ける雰囲気ではなかった。そして、もう辞めて田舎に帰るか、それとも我慢して働き続けるか、今まさに悩んでいる最中だという。雨季と交錯するじめじめとした場末のバービア空間―。

と、ここで黙っていないのが世話焼き屋のトクさんなのである。こういう場末のバービアには現地に長く住んでいる自分のような外国人が多く足を運ぶこと。10年以上の滞在の中で国際結婚した人をたくさん見てきたこと。特にこの手の場末バーでは中年のタイ人女性が多いが、それでも孤独な独身老人ファランたちは自分の老後の面倒を見てくれるようなパートナーを探している。若い女性はショートで十分。場末には場末の需要と
供給があり、それが首尾よく成り立っているのだ。すでに先輩組からもいろいろと聞いているのは間違いないだろうが、見た目も昔は美人だったであろう、すっきりした顔立ちと奥手な感じのダオに対しトクさんは少なからず好印象を抱き、この子ならいい旦那が見つかるかも・・と感じたのも確かで(どちらかと言えば)パタヤでもうしばらく頑張って続ければいいのにと慰めるように自分の見聞きしたバービア話を彼女に向け語った。

そして、しばらくして、トクさんは話を締めるように、その間飲んだビール2本の勘定を済ませると、会計とは別に1.000バーツ札をダオに手渡し、彼女にこう告げたのだった。「この金で田舎に帰るか、それともパタヤに残ってもう一度頑張るか、自分で決めな」。過去に見てきたパタヤの夜の世界。それは決していいことばかりではない。華やかなネオン街の裏には男女入り乱れた欲望合戦と醜い愛憎劇が多分に潜んでいる。そして、結局のところ、最後は彼女自身の選択であった・・・。

 

それからおよそ半年後、トクさんが久しぶりにそのバーを訪れると、ダオの姿は見当たらなかったが、彼女はフィンランド人と結婚したという話を店の子から聞いた―。そして、その後、彼女のことなどすっかり忘れてしまい、早や2年が経とうかという頃だった。

とあるゴーゴーバーでトクさんが友達と酒を嗜んでいると、突然、ウエイトレスが「あちらのお客様からの奢りです♪」といった感じで、飲んでいた酒と同じものを一杯持ってきた。「んっ!いったい誰だ?」とウエイトレスが指差す先を見ると、そこにいたのはダオであった。「ああ、あの時の・・・」。彼女の元に歩み寄り、再会の握手を交わす。隣りに座っていた身なりの良い旦那さんも彼女から話を聞いていたのか満面の笑みでトクさんに握手を求めてきた。

二人はトクさんが初めてあのバーを訪れたほんの数日後に出会い、程なくして恋仲になると彼女はバービアを辞めて彼と結婚してフィンランドへ。現在は残した子供や家族に会うために年に数回タイに戻ってきているという。そして、あの時、トクさんからもらった1.000バーツ紙幣は彼女のチョクディー(幸運)アイテムとして今でも大事に財布の中に仕舞っているとのことだった。

ナイトバーでの出会い~海外結婚生活、そしてタイに度々帰還しては、自分が以前働いていた店に遊びに来る女性は意外に多い。外国人と結婚し、すっかり生活環境も変わり成り上がった自分(旦那同伴)を誇らしげに自慢し、皆に見せつけたいという見栄っ張りなタイ人の性質だといえるのかもしれない。そして、二人はパタヤで知り合った以上、彼も彼女ができ結婚しても尚、やはりまたパタヤに遊びに来たいのである。(妻が友達に会いに行ってる間にショートタイム?)出会ったバービアで盛大に結婚パーティーを催す欧米人の姿もパタヤならではの光景だ。後々、外人旦那とパタヤに住みつき、あるいは年に何度か来る彼を待つ間にと美容院や
飲食店を経営する者、自分の経験を元に今度はバー経営者となってパタヤ復帰を果たす者と様々である。それが彼女たちのパタヤドリーム。彼女たちの夢と欲望は果てしない・・。

そして、特に50歳以上リタイヤメントビザでロングステイ(長期滞在)する孤独な独身ファランの老人たちで溢れるパタヤの場末バービアでは、店で売れ残っているように見えるオバサンもいつか自分は!としたたかに獲物を求めながら、のんびり伴侶を探し、待ち続けている。パタヤに林立する数多のバービア群とそこで働く女性たちの中でまさしくパタヤドリーム♪といえる程の成功を手にした者はどこにでもいるようで実は一握りなのが現実かもしれない。

それでも今日もまた一人のバービアレディが誕生しては田舎へと帰っていく。街の健全化にリゾート整備と近代化が進むパタヤシティーであるがネオン化粧の夜の顔は相も変わらず派手にのどかにそこかしこに広がっている。そして、コンニップン親父の1.000バーツは今も尚パタヤのある場末エリアのバービア群で成功話の一例として語られ、自分もあやかりたいと(足長おじさん的存在として)トクさんの来店を心待ちにしているレディがいるとの話であ~る。(パタヤ~パタヤ~♪)

 

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