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BIG-JOHNの夏―それでもオトコは恋をする

投稿日:2004年1月10日 更新日:

big-john

気が優しくて、力持ち。アメリカ人の彼は、身長190㌢強、体重100㌔超とプロレスラーのような体型の持ち主で、誰もが怖がる風貌を備えているが、その風貌とはほど遠く、彼の心の中身はとってもピュアそのもの。これは、42歳にして、初めてパタヤを訪れた男の恋物語である。

ジョン(仮名=42歳)。アメリカは、カリフォルニア州出身の彼は、母国で保険セールスの仕事を、およそ20年間やった後、会社を自主退職。兼ねてからの夢であった南国での永住を叶えるため、アジア随一の歓楽街があるリゾート地、パタヤへと降り立った。独身貴族として、長い間、仕事詰めの毎日を過ごしてきた彼にとって、数人の友達から聞いていたタイ、そしてパタヤは、まさに桃源郷。夢の娯楽地として、頭の中は希望で膨らんでいた。

風貌とは程遠く、とってもオチャメな性格のジョン。初めてバービアに訪れた、パタヤ初日も、彼の饒舌はバーの女の子に大いに受け入れられた。「 Hello, would you like some drink?」と店の女の子に聞かれたら、「 I don't wanna drink, I wanna only talk to lady.」。「 Do you wanna play game?」 と言われれば、「 I don't wanna play here, I wanna play with lady in my room. 」とまさにスケベ丸出しのオッサン状態。(苦笑) そして、言った後には、「GA HA-HA-HA--」と一人笑いするのも忘れない。普通はこういう人種は、バーで嫌われるのだが、彼の愛くるしい目つきと、優しい笑顔が、全ての女の子の安心感を誘った。。彼のパタヤ滞在スタートは、好調だった。

それから、ジョンは、毎晩のようにあちこちのバービアに赴いては、いろんな女の子を連れ出し、ともに夜を過ごした。そして、その守備範囲も驚くべき広く、バービア、GO-GOバーだけにとどまらず、レストランのウエイトレスから、ホテルの受付け、タイ古式マッサージ嬢、果てには、美容院の従業員までと、口説く女の数も多ければ、彼の携帯に入っている女の子のメモリー件数も次第に膨らんでいった。

僕らも一緒にいて楽しいひと時を過ごせるジョンと毎晩のように酒をかっ食らった。そして、僕らの間での彼の愛称は、「バタフライ(浮気者)ジョン」に留まらず、「ビックヘリコプター・ジョン」へと変化していった。野太く低い声で、そこら中の女の子に声をかけるジョン。「ハァロォー!」、「サバディーカァ~プ!」、「スウェ~イ!」 と発音の間違った怪しいタイ語で、誰ふり構わず愛想を振りまくビックジョン。彼は、僕らの中のちょっとしたヒーロー(?)になった。

しかし、そんな楽しい日々も長くは続かなかった。これまで、自分の飲むドリンク代は使い放題。だが、女の子に関してのチップは、一晩500バーツと、分けの分からない考えを誇示してきた彼だったが、ある晩を境にその彼に変化が起きた。それは、彼が、エイ(仮名=21歳)に出会ってからだった。バンコク出身の彼女は、まさに都会育ちらしく、ファッションからその風体まで洗練されたもの。最近のジョンの最もお気に入りの一人だったが、その彼女、我々の当初の予想とは反して、すごく根が真面目な子だったのである。毎晩のように飲み歩く生活にも多少の疲れが出てきていたジョンは、彼女と過ごす時間が多くなった。そして、いまだ独身貴族である彼の恋愛本能に、徐々に火が灯っていった。

「彼女からのチップの請求も、もう最近はない。この子は、お金だけのその辺の他の子とは違う」。いつしか、ジョンは彼女に恋をし、二人は生活をともにする仲になった。しかし、所詮は売春婦とタカをくくっていた僕らは、彼女のことを今だ信じられずにいた。「なぜ、彼女は、ジョンに金をねだらないんだ?」。「きっと、ジョンは後に大きな金銭トラブルに巻き込まれるに違いない」。僕らは彼女のことを疑って止まなかった。そして、その予感通りの日が、ついにやってきた。

ここのところジョンからの誘いもなく、めっきりダラダラとバービアで酒を飲むという生活が続いていた、ある晩のこと。僕らの元に、ジョンから数日ぶりの電話が入った。「お前ら何してる?」。「いや、ソイ○×で、飲んでるけど」。「ちょっと聞いてくれっ」。「何?何?」。ジョンは、か細い声で僕らに伝えてきた。「今日ママの誕生日パーティーをやるからと、彼女(エイ)に誘われ、彼女の家に来たんだけど、一人若いタイ人男性が同席しているんだ。彼女に聞くとただの友達だと言う。どうも彼女に馴れ馴れしいし、お前らどう思う?」。

ビンゴー!!僕らは答えた。「だめダヨ。ジョン。 そんなの彼女の男に決まってるじゃん!そんなとこ、とっとと退けちゃえよ!」。

しかし、ジョンは、もうしばらく様子を見てみたいと、一度、電話を切った。そして、それから数時間後、周囲からの怒号とともに、再びジョンからの着信があった。「ファック!ファック!」と声を荒げながら、僕らに話しかけるジョン。僕らは焦った。「どうしたの!ジョン!」。「タイ人男がついに正体をさらけ出した。奴はやはりエイの男だ。ヤツは、俺がエイにお金を上げていないのを知ると、俺に今すぐ金を払え!と今にも突っ掛かってきそうな勢いだ」。「落ち着けよジョン!とにかくそんなとこ早く出て来いって」。「ヤツ(タイ人男)は、腰にガン(銃)をさしている。どうすればいい??ファック!ファック!」。彼の声は焦りと怒りでいっぱいだった。

「そこは、どこ?」。「パタヤ市内から結構離れた所だ。でもどこかは分からない」。これは一大事だ、どうする!「お金は持っているの?」。「手持ちで数千バーツはあるが…」。「とりあえず、その場は、お金を払って撤退したほうがいい!」。僕らは冷静に対処するよう問いかけたが、すでにエイに恋してしまっているジョンには、そんな提案も通じなかった。「そんなの嫌だ。俺は彼女を愛してる!彼女も俺を愛しているんだ!俺はヤツ(タイ人男)に言われて金なんか払いたくない!」。「OK、OK。」僕らは、ジョンをなだめた。

「その場には、あと誰がいるの?」。「彼女とタイ人男とママだけだ」。「OK、ジョン、ママに代わってくれ!」、ジョンは携帯をエイの母親に代わった。「ママさん?」。「ソウダケド」。「これはどういうこと?」。僕らはちょっと怒り気味に問いかけた。「私も娘のことはよくワカラナイ。ただ連れてきていたタイの男の子が急に逆上シチャッテ」。「彼、ガン(銃)を持ってるんでしょ?これ大変なことになるよ」。「ワカッテル。でも、ドウスレバイイ」。彼女のママは、もちろん自分の家でトラブルなんてごめんだ…と困った口調で答えてきた。僕らは答えた。「そこの住所、教えてくれる?ただし、そのタイ人男には聞かれないように」。僕らは、彼らのいる住所を聞き出すと、すぐにパタヤポリスに電話し、友達が軟禁されていると事情を説明した。

数分後、警察が現場に駆けつけ、ジョンは無事開放された。しかし、あの勇ましいビックジョンは、どこへやら。。彼の表情は、もぬけの殻と化していた。「元気出せって、ジョン!タイ人女なんてみんな、男いるんだから」。「いや、彼女は俺のことを愛していた」。「…」。「とにかくお金も取られなかったし良かったよ。今日は酒飲んで、また新しい女捜そうぜ!」。しかし、ジョンの気持ちは一向に元へは戻らなかった。そしてジョンの携帯に彼女からの着信があったのは、事件から30分程が経ってからだった。

「ハロォー」。「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」と彼女。「It's OK、OK」とこんな時も彼女に優しいジョン。そして「ダメだよジョン、そんな電話切っちゃえって!」と、エイとの関係は一刻も早く終わらせるように告げる僕ら。しかし、ジョンは聞かなかった。「今から彼女に会いに行く」。「はぁ~、、カモ~ン!ジョン~!そんなろくでもない男といる女なんて、ろくでもない女なんだから」。それでも、ジョンは聞かなかった。 そして、仕方なく僕らもその場に付いて行くことになった。

あるバーで彼女との待ち合わせをした僕らだったが、ジョンは相変わらず彼女に、「大丈夫か?いったいどうしたんだ?」と優しい言葉をかけるばかり。そして、当の彼女はジョンに対し、「ゴメンナサイ」の一点張り。僕らももう見ていられなかった。僕らは、彼女に荒々しくタイ語で告げた。「お前さぁ、どういうつもり?男いるんだろ?ジョンをどうしたいんだよ。男はガン(銃)を持っていたって言うし、最悪だよ、お前!」。

彼女は泣きながら答えた。「彼(タイ人男)は、私の前の彼氏。 彼、マフィアの下で働いているんだけど、今だに私のことしつこく付け回すの。嫌だって言っても怖いから何も出来ないし」。彼は今でも、彼女のもとにチョコチョコ現れては、彼女が稼いだ金をせびりに来るという。しかし、先ほどの僕らの通報で、彼は警察に連行されたとのことだった。僕らはジョンに告げた。「○○××△△…って彼女は言ってるんだけど、これはマジ危ないね。例のタイ人男だって、いつ釈放されるか分かんないし、もう彼女とは終わりにしなよ」。「…」 無口のジョン。

そして、僕らは強引に彼女の元から、彼を引き離した。「さぁ!酒でも飲みに行こうぜ!」。僕らは再びジョンを連れだし、酒を浴びまくった。しかし、ジョンは落ち込んだ気持ちを入れ変えることが出来なかった。僕らは優しく彼に伝えた。「ジョン、これがタイなんだよ。みんなああやって彼氏がいるし、男に貢いでたりもする。でも彼女らは怖いだの何だの言って、結局はその男のこと愛してるんだから」。パタヤ滞在当初は、派手に遊びまわっていたジョンだったが、一度タイ人女へ入った気持ちは止めることは出来ない。これまで、周りの誰もがそうだった。これがパタヤの法則だった。

僕らは、タイでのこと、タイの娼婦事情、自らの経験など、全てをジョンに語りかけた。そう、ジョンはまだパタヤ学校一年生なのである。僕らだって今だに分からないことがあるし、女の子に騙されたりもする。パタヤは中々奥が深いのである。ジョンは分かってくれたようだった。「Thank You GUYS...」。僕らに一言別れを告げると、ジョンはその日一人悲しくその場を後にした。

そして、その翌日。ジョンから連絡があった。「今朝、彼女から連絡があった。今一緒にいる。やっぱり俺は、彼女のこと愛してる!」。「SHIT!」。「俺、間違ってるか??」。「OK、OK。もう好きにしてくれ」。僕らにもうかける言葉はなかった。それから半年。ジョンとエイの二人は今も仲良く暮らしている。彼女はバーの仕事も辞め、今はレストランのウエイトレスに鞍替え、すこぶる安い月給らしいが、ジョンにお小遣いをたかることもないとのことだ。

「あいつは何かを企んでいる」。当初の我々の予想とは反し、彼女もジョンの優しい性格に、本気で惚れこんでいるようだった。そして、相変わらず僕らはといえば、ジョンの周りでウロウロ。彼女を監視しているつもりだが、、今のところ、これといった問題はない…。

 

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