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タニヤで働く「ある族」の素顔

投稿日:2007年7月27日 更新日:

sangaku-minzoku

これはタニヤで働く「ある族」の話である。友人のアメリカ人一派(日系)と一緒に、バンコクはタニヤ街に飲みに行った時のこと。その仲間内の一人スティーブは、ある店から美形な顔立ちの色白美人を店外へと連れ出した。彼は、もちろん英語が会話に使用する基本言語であるが、多少の日本語も話せる。彼女との会話は、片言の日本語同士というヤリ取りで、繰り返された。

僕らは皆で食事や遊びへと出かけた。そして、ある時、スティーブが連れ出した彼女と話す機会があった。彼女はチェンマイの出身。タニヤで働き出して2ヶ月だといった。

↓以下、彼女との会話(タイ語)。

「へぇ~、チェンマイ出身なんだ。俗に言うチェンマイ美人だね(笑)。俺も行ったことあるよ。で、チェンマイのどこなの?」。「ええと、○×(場所不明)」。「えっ、なになに?どこ?」。「メーホンソンとチェンマイの間の町。でも、メーホンソンに近いかな」。

「えっ、ホント?俺も、メーホンソンの近くのPAIって町に行ったことあるよ」。「ホントに?私その近くよ。山の上に住んでるから」的な発言。

「んっ?山??君ってもしかして、どこかの族?」。この質問をきっかけに、話は思いもよらぬ方向に急展開する。「何族?カレン?アカ?ラフ?リス?」。知っている限りの「族」の名前を連ねて尋ねてみる。「いや、私は●●族よ」。「へぇ~、マジで。すげぇ!(何がすごいか不明だが)」。

「で、●●族ってどんな民族衣装だったっけ?」。「こうで、こうで、こういうやつ…」。(彼女は手で首を絞めるようなポーズをとる)

「えっ!!それって、もしかして、、君、、首長族??」。

首長族とは周知の通り、幼い頃から金メッキ(?)のリングを首に幾重となく巻きつけ、それが美しいとされ、首に巻いたリングが多ければ多いほど族一番の美人(?)だとされる怪しい風習を持つ族(多分)。僕の初めての首長族との出会いはタニヤということになった。(汗)で、聞きたいことは山ほどあったが、先ずはと興味津々に彼女に尋ねてみる。

「ところで、君は何個リング付けてるの?」。「私は普段三つ付けてる」。「えっ、たったの三つ?」

ガイドブックなどで見たあのイメージ。平気で10個以上のリングを付け、苦しいであろうはずなのに、無邪気に微笑む、あの首長族レディたちの画像が脳裏をよぎる。そして、それは猜疑心へと変わっていく。首長族とはリングの数がものをいう世界(多分)。なのにこの生娘はたったの三つ?こいつ歳の割には案外少ねぇな!幼いときから装着しているんだったら、もうすでに10個近くはいって当然だろ。(年輪のごとく歳を重ねる度にリングが増えるのであろうという勝手な思い込みの元の自問自答)

いや、それとも、この子は村ではブスの部類ということなのか。(美人ほどリングが多いという勝手な思い込み)でも、彼女はタイでは美人の象徴とされる透き通った色白の肌の持ち主。しかも、かなり可愛い。もしやインチキ首長族か?勝手な思い込みは頭の中を占拠する一方だが、質問を続ける。

「へぇ~。で、それって、田舎戻るとき、どのタイミングでつけるわけ?やっぱバンコクからの移動のバスの中で装着とか?さすがに、集落についてあわてて付けるっていうのも、首長族の誇りがないっていうかね。村人の手前もあるし。でも、あれか。バンコクに出て来ているわけだから、さすがに持参などしてきてないか。まさか」。

「えっ!私、いつも自分のアパートに戻ったら、付けてるわよ。」(自信満々)

「え、えっ~!マジで!?」(衝撃発言にかなり驚嘆)

「いや、私、リング付けてないと、落ち着かなくて眠れないから…」。

恐るべし、首長族!幼少からの習慣というものは恐ろしい。まさに英才教育の乗りです(汗)。んっ!そこで、はっと思った。待てよ、、ということは。(一人思案にふける) 彼女を連れ出したスティーブは、昨晩、彼女と一夜を共にしたはず。まさか、彼女が、幼少の時からシャンプーハットをつけないと頭を洗えない癖がついて育ち、付き合いを始めた彼氏に衝撃の告白をするかのごとく。「私これ付けないと眠れないから…」といって、リング持参ということはあり得ない話だ。(いや、あったらかなりウケるけど)

そこで、タイ語での会話に、それまで全く理解不能な面持ちを続けていた当のスティーブに尋ねてみる。「ねぇ、スティーブ。もしかして、昨晩、彼女ってあまり寝てなかったんじゃない?」。「ンッ?ソウソウ、全く寝てナカッタ。彼女ズット起キテタヨ。ナンデワカル?」。

スティーブに、これまでの話の流れを説明する。(スティーブ爆笑、そして、妙に感心する)

「じゃあ、あれだ。君は男の人と×××する時、リング装着みたいな乗りで、首絞めプレイとかされると感じるんじゃないの?」。「・・・(族の彼女、苦笑)」。まあ、さすがにそんなことあり得ませんが。(族の皆さん、ごめんなさい。ほんの冗談です)

そして、そこにいた皆がみな思ったであろう、核心をつく最後の質問。「ま、まさか、首長リング。今、その手元にあるカバンの中に入ってるってことはな・い・よ・ね?」(一同、かなりの期待、ドキドキ)。

「ううん、リングはアパートに置いてある。でも、家にいるときは常につけているわよ」。(再び自信満々に答える彼女。一同はなぜか残念な表情)

というわけで、それからも、話は俄然、盛り上がったわけだが。タニヤ勤務当初は、リングを付けて仕事場に行き、周りのホステスたちに笑われて、止めたという経緯も持つ彼女。僕にとっては、とても興味深い話ばかりだったが、彼女は、民族の誇りというものを都心地バンコクにいる時でさえ、失ってはいないのであった。(感心した)

息苦しく窮屈な町、バンコクに舞い降りた山岳民族の彼女。彼女の持つ素朴な雰囲気は、そこにいた皆を和ませた。

以前のような通りの活気もかげりを見せ始め、飽和状態の感も見えてきた日本人街、タニヤ通り。最近では、様々な趣向を凝らした店も増え、集客競争のためには余念がないといった感じだが、そのうち、民族衣装フェチにはお勧め!的な乗りで、山岳クラブ 「族-ZOKU-」なんていう店が出来るのも時間の問題かもしれない。

(いやいや、こんなこと書いたら、どこかの団体に怒られそうですので発言撤回です。)

 

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