バンコクからパタヤへバスで帰ってくるときのこと。バスの出発を待つ待合室で、怪しい女ふたりを発見した。年の頃は20歳前後。ふたりはそれぞれが、目深に帽子をかぶり、色の濃いサングラスを着用。更に、顔全体をおおうほどのマスクをしているのであった。
怪しい、怪しすぎる!
周囲の目を気にするように、こそこそと、そしてひと気のない隅っこに場所を移す、まさに怪人20面相状態のふたり。肩を寄せ合い、せわしなくキョロキョロと辺りを見回している。
怪しい、とっても怪しすぎる!
そんなふたりを調査すべくふたりのそばに近寄ってみる。「田舎で人殺しでもしでかしてきた殺人鬼か!?」。いや、そんな奴らがこんな怪しく目立ちまくりの格好などするはずはない。「若者に人気のタイのスーパースター、お忍びパタヤ旅行か!?」。いや、だったらこんな庶民バス利用するわけがないか。どこからどうみても怪しすぎるふたり。猜疑心は膨らんでいく一方である。
と、よくよく観察すると、片方の女は、もう一方に寄りかかりひどく咳き込んでいるではないか。「まっ、まさかエイズの末期患者。パタヤで養生?」。いやいや、考えすぎだ。うむ、もしかしてふたりは単なる風邪なのだろうか。もう思考は次から次へと溢れんばかりに出てくる一方である。ああぁ~もどかしい。ふたりが何者なのかを知りたい~!と、そんなこんなするうちに出発の時間が来てしまった。
で、バス内では観察できるはずもなく、パタヤに到着。いの一番でバスを降り、ふたりを待つ。2時間の移動の際の効きすぎたエアコンのせいか、更に咳き込みながら出てくるふたり。
「やっぱり、ただの風邪だったのか」。強引に結論付けをし、家路につこうとしたとき。そのときだった。ひとりがおもむろにマスクをずらし鼻をかいた。その瞬間を見逃さなかった。そこで目にしたものとは・・・。
痛々しい包帯の後であった。
というわけで、彼女らふたりは、おそらくパタヤのどこぞかのバービアか、GOGOバーで働き、バンコク日帰りの整形ツアー(目と鼻)に行っていたであろうことが判明した。(おそらく)これってなんかパタヤっぽいよね。