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どうなりタイ!?ランド

投稿日:2010年5月21日 更新日:

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先週末~一週間ほど、うんざり混迷の続くタイ都心部を離れて、久しぶりに国内旅行してきた。訪れたのは、壮大な川の流れと数々の寺院が色づくタイ最東部の県ウボン・ラチャターニー。当初の予定では、周辺遺跡や滝など東北地方もぷらり旅するつもりだったが、連日40℃を越す予想外の猛暑に参り、だらだらウボンのみを満喫することになった・・。と、レンタルバイクをして川べりに行ったり、寺院見物をしたり、我々以外、観光客の全く見当たらぬ猛暑のウボン滞在となったわけだが、ホテルでテレビニュースをつけるたび、そして、ロビーに散乱した新聞記事が視界に入ってくるたび、赤色バンコクの叫びは更に悲痛なものへと変化している様子だった。

一方、田舎の人々は、いつもと変わらない、のんびりとした毎日の生活を繰り返している。そんな青空澄み渡る平和な街に、ドンヨリとした異物が浮かんだのは、週末のことだった。16日(日)のお昼過ぎ、とある食堂のテレビから流れていたのは、あいかわらずの銃撃戦―。南国の乾いた空気を切り裂く爆音にモクモク広がる異様な黒煙群。夫か子供を失ったのか、泣き崩れるタイ老婦人の姿にグサリ胸を突かれるウボンの昼下がり・・ピーカン直下40℃。おそらくバンコクに行ったこともないだろう、緩やかボイスのイサーン語に囲まれた人々は、ブラウン管の中の出来事を、ある種、コメディー番組でも見ているかのような乾いた目線でただ、淡々と眺めている。

そして、食事を終え、街中を再びひた走る僕らのレンタルバイクの目前に立ちはだかったのは、さきほど、食堂のテレビで見たような黒煙だった。「まさかウボン赤色派もバンコクに便乗か?」。何事だ?とあっけにとられる田舎の人々は、どちらかと言うと、興味深々ヤジ馬的な行動に出る。それは、日常生活に迫った危機というよりは、変わらない日々の空間に起こった特別な出来事。(ちょい不謹慎だが)火事の現場を見たいという怖いもの見たさのような態であった。

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そして、黒煙の立ち上がる場所は、ウボン中心地にある巨大公園(トゥン・シー・ムアン)。街のシンボルを覆い尽くす、異様な匂いと毒々しい煙り。すっかり観光気分も台無しの様相。とは言え、せっかく赤色の近くまで来たのだからと、危険を顧みず(?)もうちょっと近くまで・・と、制する奥さんを尻目に集会現場に接近してみたわけだが、それは、まさしくイベントだった。入り口付近は、大量のタイヤを燃やし完全封鎖(?)。右翼の街宣カーを更に派手にしたようなトラックからは威勢のいい爆音ボイス(拡声器)が響き渡る。

不謹慎にも、クイーン(女王)のモニュメント壁には、落書きも見受けられる。通りを挟んで公園側には、赤色シンパたちの姿。赤色のTシャツを身にまとい集まったタイ人家族、無邪気にはしゃぐ子供たち、練り歩く僧侶。気だるい猛暑下を避けるべく木陰に座り、通りの向こう側で繰り広げられる過激イベントを、祝日のひまつぶしのような態度で、淡々と眺める人々。匂いや見た目以上の緊張感は、その場には、全くといっていいほど皆無である。そして、それは、ごく少数派が作り出した非日常的空間ショーでもある。

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そして、その翌日・・。ウボンの街は、再びのんびり平和な空間へと戻ったが、僕は、赤色の現実を再び垣間見ることになる。というのも、その日、街中では警察による交通取締りが、あちこちで行われていたからである。とある信号付近で運悪くもノーヘル(レンタルバイク)で捕まった僕ら。見ると、およそ10人体制の警官たちはやってくるバイク群を片っ端から道路脇に呼び寄せ~取調べ。ノーヘル、免許不携帯、まさに流れ作業のように取り締まり、隣りの罰金支払い所(特設)で200バーツを徴収。すさまじい勢いで、札束(現金収入)を積み上げている・・。

「観光で来て、これレンタルバイクなのに・・(怒)」。とタイ人奥さんはむくれたが、「ごめんね。そこで200バーツ払ったら、もうノーヘルでも大丈夫だから・・。んっ?君は日本人なの?俺は日本人女性が大好きだよ・・」。とか何とかなぜか、へりくだった態度で、罰金徴収を続ける警官たち。おそらく、赤色派の警察たちが寄り集まって、小遣い稼ぎをしているのであろう・・(多分)。というのも、騒ぎが始まって、ここ数ヶ月ほど、タイ政府は赤色派警察たちのサラリー(給料)をストップしているとのことだ。実際、収入を絶たれ当面の生活費に困っている警察は多いようで、特に、田舎になればなるほど、その窮状ぶりは容易に伺えるというわけだ。

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そして、パタヤに戻ってくると、バンコクの事態は更に最悪なものへと激化した。というより、今回の騒ぎは、体裁的にも赤色的にも、そろそろ最終局面を迎えていたことも確かである。タイ各地に出された夜間外出禁止令。コンビニ、デパート、ガソリンスタンドと、あらゆる商業電気(ネオン)が消え、街はいつも以上にうっそうとした漆黒の闇夜へと姿を変える。夜間外出禁止令、それは九州で育った僕にとって、台風直下の夜のような雰囲気と緊張感だった。万一の停電に備えロウソク準備OK。いつも以上の関心度でテレビの画面を見守る。

そして、すぐに目を疑う光景はやってきた。それは、赤色幹部たちの出頭劇だった。まさにシナリオがあるかのようなキレイな流れ。「もう死人は出せない、降伏だ・・」。とばかりに最悪最高のタイミングで出頭した幹部たち。タイ各地で相次ぐ暴徒たちの横行暴挙にも、すでに我関せずといった感じであったが、僕には、彼らのほくそえむ裏の素顔しか想像することができない。一応、タイ政府は、鎮圧に成功しタイ国内は正常化へ向け作戦は終了したようなコメントを残している。だが、総選挙の前に、今回の騒動の責任問題で、また、もめることになるような気がして仕方ない。

警察だか、治安部隊だかに出頭した赤色幹部たちは、非常事態で法律自体もあやふやになっているような状況下、誰が、どういうふうに裁いて、判断するんだ?それって、見せかけの出頭劇なのではないだろうか・・と僕はふと頭を捻ってしまう。そんな中、某タクシンはといえば、娘とパリのルイ・ヴィトンでショッピングしていた!?なんてニュース記事が出てしまう始末で、(ま、マスコミ報道も何が真実かは微妙だが・・)
今回の騒ぎも一部の幹部たち(強硬派)がやったことだと責任逃れ(?)。Oh!! My 仏陀。そして、何より一連の流れを見ていると、これは実質的に赤色の勝利なのではないか?と感じてしまうのは、なぜなのだろう・・。「さて、仕切りなおしだ。次はどうするかね」。それが、現在の赤色派(幹部たち)のリアルな声のような気がして仕方ない。

それと、もうひとつ気になることは、騒動中の世界各国の対応だった。ヨーロッパを中心に10数カ国がタイへの渡航禁止を打ち出す中、アメリカ、イングランド、ロシア、オーストラリア、日本など、どちらかと言うとタイ寄りの国は渡航延期の喚起レベルを引き上げた程度で、何とも無関心を装っている雰囲気(?)。そろそろ国連仲裁もあるのか、いや、そもそもアメリカは赤色応援派なのだろうか?などとアホみたいに妄想を膨らましていた頃合、僕の目を引いたのが、以下ニューズウィークのコラム記事だった。
【ニューズウィーク】 タイ動乱―影の主役の真実

「タクシン政権は民主主義を実現したが国は分裂させた、というのは正しくない。分裂させたからこそ、民主主義的だったのだ」。こんな言葉でコラムは終わり、どちらかと言うと、タクシンが果たしたタイ王国への貢献度といった視点からのもの。多少強引だが、説得力もある内容ではある。だが、国際的とか近代化とか先進国といった上から目線で、タイ王国のあり方への苦言を呈するお節介コラムのようでもある。この辺が、何ともエゴエゴ・アメリカンなのである。(多分) アジアにはアジアの観念、慣習、宗教観がある。それは欧米人がどう思おうが、簡単に変わる類のものではないし、それが民主主義だったのだ・・なんて言っても、何の解決にもならない。(きっと)

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これまでの騒動含め大きな近代史の一つとして考えると、タクシンが成したこと、そして、タイ王国が失ったもの。差し引くと、明らかに失ったもののほうが大きいように思う。それは、タイ王政のありかたとか、世継ぎ問題とか、国民の仏教(宗教)離れとか、軍vs警察とか、エリート層vs一般大衆とか何とか、、今、いろんなものが、膿のようにあっちこっちから飛び出し、衝突し、火花を散らし、炎上しているのだ。タイはその全ての現実を全世界に向けさらけ出してしまった。それは、実質の被害以上の国益(国際信用も含め)を損ねたことになる。そう考えると、タクシンは、まさに近代タイ史の着火マンだったし、ある時期から、それは確信犯のようでもあった。ただ、それが正しかったか間違っていたか・・となると話はまた別物である。

この先、まだまだ混迷は続きそうなタイ王国。いったい、どうなってしまうんだろうか。それは、今回の騒ぎがきっかけになったかどうかは分からないが、タイ国民、一般市民が、もっと真摯に現在の状況を受け止め、考え、行動に移すことに答えがあると思う。(うむぅ・・)いやいや、その前に、この国の一番の問題は、間違いなく教育制度(&歴史教育)だと改めて感じたことも確かである。(ま、日本も同じなのか・・)

そして、ただ、仏教愛好家の僕としては、この国の寺院が一般庶民の元を離れ、ただの遺跡のような観光建造物に成り下がらないことだけを祈る。(ナム…

 

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