●2018年3月某日<2日日>古都アユタヤをバイクで散策!
現在、僕らファミリーは、アユタヤにある母親の住まいの近くに2,500バーツほどの格安アパートを、荷物置き場を兼ねて借りている。フラフラしている不安定な今の僕の立場(環境)からすれば、一時的な避難所みたいな感覚である。そのオンボロアパートが今回のタイ滞在の拠点地となったのだが、いざ到着してみてビックリ!住まいがある小さな通り(ソイ)は、有名な仏塔(Pagoda Wat Sam Pluem)のすぐ近くという好立地であった。その仏塔の威風堂々たる佇まいたるや、どこへ出かけようにも、迷子にならずに簡単に戻って来れる、最高のシンボルタワー(目印)であった。とはいえ、住まい周辺にはホテルやゲストハウス類は見当たらず、そこは現地住民エリアという様相であった。
嫁はアユタヤ内ですでに2回引越しを繰り返しており、そのアパートは彼女がようやく落ち着いた場所であった。やれ雨漏りだの、大家がどうの、住人がどうの、治安がどうのと、あれこれ不満を述べては、簡単に引っ越しを決行する。計画性なしの小銭失い。それはタイ人の習性のようでもあるが、とりわけうちの嫁は引っ越し魔であった。(まあ、格安物件だけに住んでみなけりゃ分からんってこともあるのだろうが)しかして、そんな嫁が言うには、アユタヤでの物件探しのコツはどうやら川の近くは絶対NG!で、雨季に洪水が起きても大丈夫そうな建造物であるか否か、が重要であるらしい。アユタヤといえば2011年の大洪水が今でも記憶に新しいが、その際、メー(母親)の住まい周辺は膝ぐらいまで水に浸かった環境が一ヶ月以上続き、それは大変だったとメーが語っていた。アユタヤには川や運河がそこかしこに流れており、地形なども含めて、洪水が起こりやすい条件が十分揃っているのだろう。(まあ、逆に言えば、川があるから都市が栄えたという事実が先にあるのだろうが…)
これまでに僕は、何か機会があればとりあえずという感じで、アユタヤには何度となく訪れたことがあるのだが、いずれも日帰りばかりで、長居したことはなかった。大抵アユタヤといえば、お決まりの有名な遺跡(寺院)を幾つか回る、バンコクからの日帰りツアーが定番であった。それが今回、初めてじっくりアユタヤに腰を据えて滞在するとなると、また、その味わいというか感じ方も全く異なり、より新鮮味を感じられる気分だった。やはり一つの街パタヤだけで14年間という暮らしは長過ぎたのだろうか。しみじみ考えた。
アユタヤはタイの古都だけに、その情緒あふれる長閑な街並みや、そこかしこに佇む遺跡群に囲まれると、ふと自分が宮崎駿のラピュタの世界の中に紛れこんでいるような錯覚を覚えるほど、奇妙な居心地の良さを感じた。じりじりと突き刺すような暑季の陽射しを浴びながら、久々のタイ風オンボロアパートに身を委ねていると、部屋の粗雑さ加減が、なんだかゲストハウスのようにも感じられ、どうにも僕を旅気分へと誘うのであった。うーむ、それにアユタヤって街は、なんだかチェンマイの雰囲気に似ているところがある。そして、僕の心の片隅に常にあった、いつかチェンマイ移住という想いは、アユタヤ滞在初日にして、アユタヤ移住アリカモ!?に変わった次第である。
大移動の疲れを心地よく癒してくれるように、アユタヤにはのんびり牧歌的な光景が広がっていた。一気にテンションが上がり、さっそく初日からバイクでプラプラとアユタヤの街を徘徊する。世界遺産の街として、建物の建設条件に規制があるのか、チェンマイ同様、背の高い建物も少なく、通りは広いし、バイクで散策するには気分爽快であった。自転車をレンタルしてサイクリングしている欧米人旅行者の姿もちらほら見かける。
さてさて先ずは両替だ。アユタヤではあまり両替所を見かけないという嫁の意見を他所に、観光地だからホテルが点在するエリアにあるだろう?とタカをくくった僕であったが、ゲストハウスが集うエリア周辺を探索してみても、なかなか両替所は見つからなかった。というわけで、結局、嫁の情報により、アンポーン・デパートメントストア(Amporn Department Store)という小ぶりな複合施設に足を向けて、銀行系の両替所を利用することになった。そして、後々判明するのだが、アユタヤの街には両替所が驚くほど少なく、滞在中に僕が利用したのは、こことワット・ヤイチャイモンコン内にある銀行系の両替ボックスの二箇所だけであった。(ちなみにワット・ヤイチャイモンコン内のほうが換金率がよかった)
両替を終えると、近くのエリアにある鉄道駅にバイクを走らせた。アユタヤといえば鉄道だろうと感じていた僕は、今回の滞在中にアユタヤを拠点にして、のんびり鉄道旅をしようと考えていた。娘は女の子なのに乗物全般が大好きで、日頃から超アクティブかつワイルド、そしてアウトドア志向な性格なので、2歳ちょいのここいらで長距離移動の旅を体験させるのも、いい頃合なんじゃないかと思った。それに何より僕自身が久々にのんびり列車に揺られて旅をしたい気分満々なのであった。
やはり鉄道旅に利用している人が多いのだろう、アユタヤ駅の構内ではバックパックを背負ったような欧米人旅行者の姿をちらほら見かける。駅構内は日本の地方の駅みたいに仕切りもなく、そのままホームへと繋がっている。線路内へもすんなり進入できる、というか、線路をまたぎ超えて各ホームに足を運んで乗り降りするスタイルだからか、線路の向こう側から駅へとやってくる地元民たちの姿も窺える。
僕はさっそく旅の予定をイメージすべく、時刻表をGETした。と、そのついでにもらったのが、アユタヤを訪れるツーリスト向けに無料配布されているアユタヤのタウンマップだった。街の概観が簡単にイメージ出来るように描かれていて、シンプルで分かりやすい!使えそうな地図だったので、2枚もらって1枚は滞在時に使用、残りのもう1枚はデータ画像用として保管しておいた。(それが以下↓AYUTTHAYA TOURIST MAP 英語版)
→アユタヤ散策マップ(Ayutthaya Tourist Map)
●タイ国鉄アユタヤ駅(Ayutthaya Railway Station)
イメージしやすい地図をGETしたおかげで、ようやく住まいのあるアパートと鉄道駅との位置関係、アユタヤの街の全体像なるものを把握できた。それにバンコクまでは鉄道でも1時間半程度と車で来るのと大した差はないようだ。観光地なのに大きなバスターミナルもないことから、アユタヤでは鉄道を利用する人が多いのだろうと推測できた。さて、アユタヤの鉄道駅を拠点に先ずはどこへ足を向けてみようか。時刻表を眺めていると、隣の県のロッブリーあたりは日帰りで行けそうなので、とりあえず、”猿が生息する遺跡の街”として有名なロッブリーに日帰り旅する計画を思い立ったのだった。
アユタヤの鉄道駅に降り立ったバックパッカーの気分になって想像してみると、先ずは駅正面に出ると、向かいにソイ(小さな通り)が窺える。駅周辺にはちょっとしたゲストハウスや中級ホテルが長閑な佇まいで点在している。
アユタヤ駅周辺の街並み
アユタヤ駅前のソイ(小通り)へ足を向けると、通りの先には運河のような川(Pa Sak River)が流れており、渡し船で対岸に渡ると、川で囲まれたアユタヤの中心部エリアに向けて入る感じになる。アユタヤ散策マップでいうと、地図の右端にあるアユタヤ鉄道駅を出発して、西の方角に川を渡り、街の中心エリアに向かって進むという感じだからイメージしやすい。対岸の市内にはバンコク方面行きのミニバン停留所(Mini Bus to Bangkok)、市場(Chao Phrom Market)等がある。さらに進むと、街の中心部に遺跡が密集しているという具合である。あの有名な”木の根っこに仏像の顔が埋まっているように見える遺跡(Wat Maha That)”がある辺りである。
アユタヤ鉄道駅前の渡し舟~対岸のアユタヤ中心部へ(運賃5バーツ)
アユタヤ市内での移動手段はソンテウとトゥクトゥクが主であるらしく、特に観光客向けに、鮮やかな単色カラーにペイントされたトゥクトゥクが街中に走っており、有名な遺跡付近には必ずいる。駅前から各所への運賃は上写真のとおり。チャーター(貸しきり)で観光名所を巡ってもらう一日トゥクトゥクツアーは900バーツということになるらしい。ちなみにレンタルバイクは一日150バーツ~、ゲストハウスは150~200バーツ程度からと格安宿もあるようで、のんびり中長期滞在している雰囲気の欧米人の姿もちらほら見かけた。さて何をしようか、どこへ出かけようか。滞在初日からイメージは膨らむばかりだった。
それから、嫁のナビに従ってバイクを走らせ、ショッピングモールのロビンソンに寄って、久々の8番ラーメンを食べる。スーパーで買い物してオンボロアパートに戻ると、さっそくインターネット接続環境を整える。嫁は日頃からスマホでプリペイドカードみたいなやつを随時チャージしながらインターネットを利用している。僕は滞在時に自分のデスクトップを使いたかったので、アパート1Fに住んでいるオーナーに相談すると、彼女らが使用しているWIFIを共有させてもらえることになった。一ヶ月100バーツでOKらしいので助かった。ロビンソン内にあったPC関連ショップで、デスクトップ専用のWIFI接続機器(USB端末)を購入し、それを設置。何とか初日からネット環境を整えることが出来た。これで日本にいる両親とも大画面でテレビ電話が出来る。そうして、僕はアユタヤ滞在初日から首尾よくPC環境を整えたことに満足し、鉄道駅でGETしたタウンマップを眺めながら、翌日からのアユタヤ観光名所巡りについて、あれこれイメージを膨らませる次第であった。
→アユタヤ散策マップ(Ayutthaya Tourist Map)