前日は、病院に振り回され、散々な一日だったが、相も変わらず右手こぶし上のイボ君はいまだ健在である。これまで数週間、よくも付き合ってきたものだと思いながらも、今日こそは!!と気持ちを新たに彼との決別を再決意する。
さてさて、とは言え、昨日、電話でタンカをきった割には、再び朝の11時なんか起きれるはずもなく(昨晩深酒が理由だが・・)昼過ぎに起床。どこの病院に行くか迷う、というよりどこに別の皮膚科が存在するのかなども知らない。
とりあえず、住居のオーナーに相談してみる。「ねぇ、これ見てよ。もう出来てから数週間経ってるんだけどさ・・」。「ああ~、ペン・フゥ~ね」。ここでも、また聞き飽きた感のあるペン・フゥ~は健在。「で、どこの病院に行けばいいかな」。「タイ人なら、こんなの爪切りでカットして取っちゃって終わりよ」。「いや、それはとっても痛いでしょ、やだ・・汗」。「何で、こんなに大きくなるまで放っておいたのヨ?」。「いや、その内、無くなるかなぁ~なんて思って・・」。ダメだ、次を当ってみる。
今度は、住居の前にたむろしているモトサイ。「これ、ペン・フゥ~になっちゃったんだけど、どっか皮膚科知らない?」。ここで、またもやタイ人の習性発生。その辺にいたモトサイやら、屋台のオバチャンやら、通行人やら、いろんな人が僕の周りにやって来て、「ああ、ペン・フゥ~ね」とか、「日本人がペン・フゥ~になってるよ」とか、、「これはおっきいねぇ~」などと相変わらず好き勝手なことを言い合っている。
「こんなの火であぶってカッターで切り取っちゃえばいいのよ」。「蚊取り線香で焼けば治るわよ」。人の気も知らないで、本当に好き勝手言っている。(分かっていたが、やはりこの手の人種に聞いても埒はあきません)「で、、どこか皮膚科知ってるの?」。「すぐそこに、皮膚科あるじゃん!」。顔なじみのモトサイが言う。「いや、あの病院は昨日行ったけど、いつでも、クンモー(医者)がキンカオ(飯)でいないからさぁ。で、昨日、怒鳴っちゃったんだよねぇ。それで今日行くのも気まずいし」。「俺も、あそこしか思い当たらないよ。また、今日も行ってみれば?」。
はあ、憂うつ。電話とは言え、昨日あれだけ怒鳴り散らしたので、今さら平気な顔では気まずい気分である。でも、ま、しょうがないか。というわけで、件の皮膚科へと足を運ぶ。
「あのぉ~、今日は、クンモー(ドクター)はいるかい?」。おそるおそる聞いてみる。で、受付嬢Bと思われる女性は、僕の症状を見たとたんに、「あなた、昨日、電話してきた人でしょ?」なんて言う。「ああ、君かい?昨日、電話ブチギリしたの」。先制攻撃をかけてみる。「あなた、今日、朝11時に予約しとけって言ってたじゃない、何でこんなに来るの遅いのよ!」。(すました感じがしゃくに障る)
「い、いや、、寝坊しちゃって、、冷汗」。タイ人っぽく笑ってごまかしてみる。「自分で予約しとけって、怒鳴り散らしたくせに」。先制攻撃、はかなく失敗に終わる。
で、待つこと10分弱。再び外出していたクンモー(ドクター)、ついに登場!!こんなに振り回して、いったいどんなヤツかと思ったが、いや、普通のオッサンだった。(当然か) で、このオッサンドクター、おそらく僕のことは知っていたのであろう。症状もろくに聞かずに、即オペ開始!局部麻酔の注射を打ち、レーザーを当てると、ナイフのようなものでイボをゴリゴリと除去開始。目をやると、血がドボドボと流れ出している。(ああ、これ、後で麻酔が切れたらうずくんだろうなぁ…)
で、およそ10分ほどで治療終了。と、ドクターが影で看護婦(=兼受付嬢)にヒソヒソと尋ねている。「あいつは何人だ?」。「日本人です」。「治療費が、幾らかかるのか知っているのか?」。「はい、一応1.000バーツぐらいだって言ってありますが」。「そうか・・」。(なぜかちょっと残念そう)こんなこともあろうかと、僕は前もって「治療費は幾らぐらい?」とか、「もっと安くしてよ」などと受付嬢と話していたのだ。きっと何も知らない外国人が来たら500バーツぐらいはボルのであろう。(ニヤリ)いやいや、もうタイに長く住んでますから。
というわけで、数週間に渡り恋人のように付き合ってきた、とってもナーキアット(みっともない)なイボ君とも、これでお別れ。ターデン(赤目)、正体不明の水虫、吹き出物、発疹など、数々経験してきたが、ついにペン・フゥ~も経験。
どんどんタイ人化していく自分の身体に、人間の神秘を感じながらも、今日も、また、パタヤの一日は終わるのでありました。うっ、麻酔が切れて、手が痛くなってきた・・。