観光客から現地タイ人に至るまで、タイに欠かせないものがある。それがモトサイである。「モーターサイクル(自動二輪)」という英語から派生したタイ語であることは容易に想像できるが、彼らのことを、客をバイクの後部座席に乗っけて目的地まで運ぶだけ・・というような単純な仕事(職種)の人々だと侮ることはできない。というのも、実は、彼らには一般のイメージとは異なる興味深く、奥深い実態が隠されているからである。
■モトサイの生態
●赤や緑、黄色といったゼッケンを着用。
●観光名所、ホテルの前、ソイ(小道)の入り口などなど、多くの場所に生息。
●基本的には、1㌔範囲内ぐらいの距離で20バーツ。
●「モォ~サ~イ」と呼べば反応する。
●ヒマなときは、仲間とだべったり、その辺のネーチャンを口説いてみたり、空き瓶の栓と手書きの盤を使用した~現地人チェスのようなゲームに興じてみたり、昼間っからダラダラと酒を飲んでいたりする。
●観光客が集まる所ほど、ボッタクリの人種は多い・・。
■仕組み(システム)
●だいたいはマフィア系が裏で仕切っていたりするわけだが、彼らは自分の拠点地の利用権利を一月契約とかで賃貸している。
●着用しているゼッケンには、どこの場所のモトサイか(拠点地名)がプリントされてある。
と、ここまで書けば、ある程度の実態は見えてくる。が、実際問題、どこにでも、幾人でも街中にウヨウヨしているモトサイ。ヒマそうにしているヤツなどを見ていると、ちゃんと生活は成り立っているのだろうか?などと余計なおせっかいを焼きたくなるのは僕だけであろうか・・汗)。だが、その辺はさすがの器用民族タイ人。彼らは裏でこっそりといろんなことをやって稼いでいたりもするわけである。
(以下↓これまで見てきたモトサイの素顔)
■裏の実態(~アルバイト)
●だいたい仲間内でピックアップ車を持っていたりして引越しサービスも兼ねている。
●バンコクなどへの送迎サービスも、こそっとやっていたりする。
●現地タイ人の子供の学校の送り迎え(一月契約)。
●レストラン、バーなどの出前、買出し、お使いなどのちょっとしたデリバリーサービス。
●ガソリン販売(91と95と呼ばれる2種類を空きビンに詰め販売)
●タイヤのパンク修理~ちょっとした車の修理
裏で大工をやってるヤツもいる。ホテル、病院、郵便局、その街の情報ならだいたい、いや、ある程度のことは知っている。他の国で言うところのその街の交番的な役割も担っているわけである。僕のアパートの前にも、もちろん顔なじみのモトサイがいる。何か情報を知りたいとき、ふと困ったとき、病気のとき、買いたい物(欲しい物)が、どこに売っているか分からない(見つからないとき)、引越しのとき、力仕事を手伝って欲しいとき、僕は様々な場面で馴染みのモトサイに相談する。
モトサイはいつでもそこにいる。モトサイはそのエリアのいろんなことを誰よりも見ていて、そして知っている。彼らは街の何でも屋、究極の便利屋さんなのである。
「パイナイ?(どこ行くの)」。そして、彼らは、いつも、いつでも、とびっきりの笑顔で僕に微笑みかけてくる。