先日のこと、バンコクからパタヤへ帰ってくる際、ふと感じたことがあった。バンコクへ行く際は、そのほとんどがバスで移動しているのだが、その日は久しぶりにバス前方の席に座ることになった。ボクはどんなときでも、どんな所でも即寝を決め込むことができるため、そういう移動の際は飛行機であれ、タクシーであれ、オンボロボスであれ、くそ暑かったりしても、簡単に爆睡の世界にいざなわれることができる。
でも、その日は何か窓の向こうに繰り広げられる夜の景色に目を奪われ~♪というのはウソで、考え事をするでもなく、ただぼぉ~としていると、パタヤの手前の街シラチャーで数人のタイ人乗客者がバスから下車していった。
「この人たち、バンコクで働いてるのかなぁ」なんて思いながら、その光景を横目で眺めていると、バスが停車する際、新たな乗客がバスへと乗り込んでくるのであった。「んっ!このバスはバンコクの市内バスのように、切符切りのおばちゃんはいないが・・」。と軽い疑問を感じていた数秒後、途中乗車してきたあるタイ人青年が運転席のそばに来て、なにやらゴソゴソと行き先を告げている。
「ほうほう、パタヤへ行くその途中、その間バスを利用したいタイ人がいれば、乗せてあげているわけね」。これが規制のある日本だったら、まずあり得ないことで、もしそんな運転手がいたら、逆に人情があるねぇなどと妙な感心をされたりするのだが、ここはタイランド。これは運転手のちょっとした小遣い稼ぎになるのだろう。
そして、よくよく考えてみれば、たま~にバンコク⇒パタヤ間の道を大きく外れたりするバスに乗る時もあるから「今、ちょっと給料日前で、金欠気味なんです」というようなバス運転手は、他の乗客の到着時間など気にも留めず、自分の小遣い稼ぎのためにひたすら寄り道をするのであろう・・(多分)。
で、そんな光景を軽く楽しみながら、見守っていた僕だったが運転手のちょっとした差別に気がついてしまった。さっき乗せてあげた青年はおよそ5㌔ぐらいの距離で20バーツを支払っていたが、今度の若い女性はそれ以上の距離なのに10バーツで済んでしまったのだった。やはりどの国の男も女性陣には優しいようですねぇ。
結局、そんなとりとめもない光景を楽しみながらもパタヤに到着。で、いよいよ下車というとき、「んっ!待てよ」。ボクはふと感じてしまった。その間、途中乗車してきたタイ人は十数人。ということは、運転手はこの間100バーツ強を稼いだことになる。おそらく、オッサンは一日に何度かバンコク⇔パタヤを往復しているはずだから、多いときには一日1.000バーツ近い稼ぎにもなるはずだ。オッサンの基本給は、おそらく4~5.000バーツといったところだろう。(もっと安いかな?)
となれば、安く見積もっても月平均2万バーツ近く(基本給込み)。あるいは、それ以上、稼いでいると考えてもおかしくはない。これは一般のサラリーマンの給料を凌ぐことになる勢いだ。
まあ、タイ人のことだから、こんな稼ぎは、その日の遊び代や酒代ですぐなくなるのだろうけど、中距離バス運転手、見かけによらず、案外、侮れない仕事だと感じてしまった。