電化製品なら日本が世界一!はっきり言えばそうだろうし、タイでも日本車を筆頭にバイク、カメラに家電など日本メーカーは永続性のある信頼感を人々に与え続けてきた。しかし、昨今のタイの家電売り場では、強力なライバルである韓国メーカーのLG、サムスン辺りが登場し、期間限定プロモーションや手頃な価格帯によって顧客の人気を独占しつつある現状に様変わりしてきた。実際、商品棚の占有面積を見れば一目瞭然で、かくいう僕もそんな格安のプロモーション商品を横目に、「安っ!!」と思わず売り場まで誘導されるような衝動買い気質があるため、韓国メーカーがタイひいてはアジアで売れるのも頷けるところがある。
最新のカメラに携帯にPCに家電製品にといろいろあるが、タイ(アジア)で売られている実際の商品は日本で今売られている最新のモノとは違う。同じ日本メーカーでもだいたい何年か前の技術の商品が売られているというような感覚である。まあ、日本製は世界に誇る最先端だし、アジアの工場で同じ新製品を同時期に作るなんて難しいことなのだろう。ではその差を埋めるべく、現地の日系企業は最新の商品をアジアの人々に届けられるよう、まい進すべきなのかというと、それは違うとも思う。というのも、現実はといえば、技術の進歩の速さとアジアの需要のバランスが噛み合っていないとでも言うような感覚があるのだ。もっと簡潔に言えば、日本の技術進歩はアジアの人々にとって早すぎるとでも言うのか。
結局、ある程度技術が進歩して、やれデジタルに液晶、オートマチックにエコ機能と最新の文句を掲げてみてもタイ人は「エコって何?」などと不思議な顔をするだけなのだ。それよりはそこそこの技術と使い勝手の良さで格安プロモーションを謳っている韓国メーカーの方が分かりやすいという話である。そう考えれば、日本はODAという名の技術援助にあぐらをかき、いつの間にやら技術を奪われ、あっという間に顧客市場を奪われてしまったということになるのかもしれない。(多分)
とは言え、これぞジャパンブランドの王様。ホンダのバイクはアジアでも圧倒的なシェアを誇るが、さすがは本田宗一郎の意思を受け継いでいる企業だけあって、とにかく顧客心理に合わせた戦略で先陣を走り続けている。タイでは数年前からベスパタイプのバイクが流行っているが、それに加え、とにかくタイのバイクはカラフルでポップでキュートだ。CMを見ていても人気のあるダラー(スター)を起用し、スタイリッシュとかシティー派みたいなノリで、タイ人の心をくすぐるようなインパクトのある演出をしている。そして、定期的に新商品を展開し、店舗を増やしシェアを拡大し続けているのだ。
となると、家電メーカーも今の現状に甘んじることなく、これに追随して欲しいという気持ちになってくる。アジアの人々に最新の技術は要らない。彼らが今欲しているのは、ある程度の信頼性と手頃な価格だけである。貯金とか節約の概念も日本ほどない人たちに、節電機能とかエコを説明してみてもピンときていないような気がする。だから、最新の機能とか技術コストは最低限のものにして削り、商品自体が韓国メーカーに負けない価格帯に設定する。そして、アジアの中でもそれぞれの国で好きな色形デザインは違うはずだ。タイではピンクに緑にオレンジなど様々なカラーのタクシーが走っているが、日本人が好む淡い色とか曖昧な色合いより、原色系を好む傾向がある。また、欧米文化の影響も多分にあるため、デザインはシンプルとかシック(モダン)とか、日本でいうコンパクトみたいな価値観よりは優雅(ゴージャス)みたいな雰囲気のほうが見栄っ張りな民族は好むような気もする。(カラフル&ナーラックとか・・)
とか何とか、グダグダと戯言を述べてしまったが、まあ、いずれは日系企業もさらにアジアの市場へ真剣に目を向けなければ、国内需要だけではやっていけないような閉塞感もあり、中小企業のアジア進出とかも益々増えてくるんだろうけど、何だか韓国とか中国辺りの貪欲なアジア戦略を垣間見るたびに、おいしい市場(マーケット)はその辺にいっぱい転がっているのにもったいないとふと感じてしまうのである。で、なんでこんなブログを書いたのかというと、半年前ほど前に引越して、いろいろ家電やらを買い換えたのだが、日本人の僕ですら、ふと韓国メーカーに目移りしてしまうのが現実なのだ。
そして、店員に聞けば、プロモーションを文句に韓国メーカーのお手頃さを薦める答えが返ってくる。「いやいや俺は日本人だから」。僕は言い日本メーカーの製品のことを尋ねる。「日本メーカーは壊れにくく長持ちだし消費電力も少ないしいいですよ」と店員は答える。ぼんやりとした回答で最新の技術を説明し、韓国メーカーとの価格の違いを答える。でも、だいたい電化製品の保証期限は3年ぐらいがほとんど。今の時代、そんなに簡単に壊れるものなどないし家電なら5年ぐらいは平気で持つ。5年後にはもっと魅力的で格安なプロモーション商品が売られているかもしれない。では韓国メーカーには最新機能はないのか?と聞けば、「いや、韓国メーカーもいい商品ですよ」と、その微妙な差異を説明することは出来ない。最新の機能も、アジアの需要の前では意味のない武器を持っているようなものなのである。ただ、絶対的な信頼感はジャパンブランドの武器であるからこそ、さらにお手頃価格で攻めると最強なのに・・という話なのである。(頼むぜ!ジャポン)
あと、タイ(海外)に住んでいるとつくづく感じるのは、日本メーカーなら日本語の説明書とか液晶の場合の日本語表示(設定)は絶対欠かせないと思うんだが、これが中々現実はせいぜい英語で理解しなきゃならないみたいなところが多々あるので改善して欲しいと願う。また、先日、何年かぶりに湯沸しポットを買い換えたのだが、それは某日本メーカーのものだ。(アジア製)日本で売られているものなら、だいたい液晶表示で「給油(お湯)」、「ロック(解除)」みたいなボタンがついているが、僕がタイで買ったものはアナログタイプな感じでロックレバーがついている。そして、青字で「Lock」、赤字で「Unlock」と表示してあるんだが、ふとした時に見間違えてしまい、何だか今でも慣れないのである。それは僕の個人的な細かい感覚なのかもしれないが、その色と英文字の組み合わさった視覚的イメージにどうも違和感を覚えてしまうのである。
Lock(ロック)のイメージといえば赤で、アンロック(解除)のイメージは青。それは信号機のようなイメージでもあるが、赤には危険(停止)みたいなイメージがあるし、青は開放みたいなイメージだ。とは言え、自動販売機のイメージで言えば、水(ジュース)が青で、お湯(ホット)は赤である。湯沸しポットも赤字で「給油」と書かれていたほうがお湯っぽい。そうやって考えてみると、青字で「Lock」、赤字で「Unlock」というだけでは、どうも安易すぎるような気がしてしまう。青字で「Lock」はいいとしても、赤字は「Unlock」ではなく「HotWater」のほうがしっくりくるし、パッと見て分かりやすいような気がする。ものすごい些細な話だが、こういう細かいイメージがサブリミナル的に顧客心理に作用するし、使い勝手の良さといった感覚で現れてくるのだと思うんだが。(違うか?)
と、全くどーでもいい話なのだが、湯沸しポットひとつから勝手散漫に妄想が膨らんでしまったパタヤの雨季この頃である。(ビバ!ジャパンブランドというわけで・・)