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モトサイの男たち―ソイと女の魔術師

投稿日:2004年1月22日 更新日:

motosai-otoko

タイの首都バンコク。多くの交通量と、それに伴う渋滞で、世界に名の知れた都市である。バンコクでの交通手段と言えば、メータータクシー、市内バス、BTS(高架鉄道)、そして、観光者の御用達トゥクトゥク(三輪バイクタクシー)などがあげられる。しかし、パタヤ内における移動手段は、バンコクのそれとは少し異なる。パタヤの街は、ビーチロード、セカンドロード、そしてサードロードと三つの大通りを中心に~そこから伸びる多くのソイ(小道)で形成された単純構造。

そのため、人々が移動する際の乗り物は、大通りを走るソンテウ(乗り合いタクシー)。あるいは、ソイ(通り)から外れた場所に行きたい際に利用するモトサイバイクに限られるのだ。パタヤを訪れる観光者は、このどちらかかを巧みに使いこなし、市内を移動することが求められるのである。

さて、日本でタクシーを利用する際、我々が運転手に求めることと言えば何だろうか?それは、「目的地までの到達時間」。そして、「目的地までの料金」の二つだろう。「いかに早く、いかに安く目的地へ着くこと」 が、我々がタクシー運転手に求める必須事項なのだ。

「こっちの方が近道だから」。「これは高速を使った方が安くつくね」。お客とすればうれしい言葉だ。そういう運転手のタクシーに乗り、我々は、今日はいいタクシーに当たったと満足するのである。そして、同じことが、ここタイでも言えるだろう。

あなたは観光客、そしてホテルの前のモトサイを捕まえる。「モォーサイ~!」。モトサイが尋ねる。「どこまで?」。「●×センターまで。いくら?」。「▲×バーツだ(ボッタクリ料金)」。こんなのうれしいはずはない。また、値段も聞かずに乗って、遠回りされ。後に多めの料金を請求されても、街の構造を何も知らない人にとっては、何も言えないのが現実なのである。

しかし、パタヤの構造をある程度、知っている我々長期滞在者にとっては、彼らもボッタクリは禁物!料金もタイ人相場価格で事前交渉するせいか、「早くこの客を目的地まで連れて行き、次の客を取ろう」という考えが、彼らの頭の中に浮上するようだ。そのため、「ヘェ~こんな道あったんだ」。 「なるほど。ここへはこう行けば早いんだ」などど、妙な関心をする時も多い。

そう、彼らはソイ(通り)の魔術師!市内の近道、裏道、車では通れない荒道など、全ての市内構造が、彼らの頭の中にはインプットされているのである。しかし、残念ながら、やはりここはタイだった。日本とは違い、タイ、そしてパタヤには、仕事に忠実なモトサイドライバーは少ない。彼らの中には、客を多く取ろうとか、取りたいという考えの持ち主は少ない。やはり彼らも所詮はひとりのタイ人男子。彼らの頭の中は、女の事でいっぱいである。そう、彼らは女の魔術師!でもあった。

タイが誇るリゾート地パタヤ。もちろん、ここには観光客ほか、多くのタイ人が住んでいる。それは、街の至る所に溢れるバービア、GOGOバーで働く娼婦たちも然りである。そして、その娼婦たちのほとんどは、アパートから店へ出勤する際、店から帰宅する際、お客を連れホテルに行く際、いかなる時でも、モトサイを利用する。

彼女らが働くバーの周りには、モトサイの基点地がある。また、彼女らが住むアパートとは、そのほとんどが繁華街から外れた裏街道にある。もちろん、そんなところにも、モトサイの基点地はある。

彼女らにとって、モトサイは生活の一部。彼女らが、一人のお客よりも接する機会が多いのがモトサイなのである。モトサイは、どこにでもいる。モトサイは、いたる所を走っている。そして、基点地でヒマしてるモトサイの男たちは、仲間と女のことを話している。

あるバーの前に基点地を持つモトサイの男が言った。「あそこの店に新しい子が入ったの知ってるか?」。仲間のモトサイが言う。「ああ、スリンから出てきた子だろ。この前、仕事帰りに乗せたよ。彼女まだ18歳だぜ」。「お前、あの子と話したのか?彼女、どこに住んでるんだ?」。「ソイ○×にあるアパートだ。まだこっち(パタヤ)では、男も出来てないって言ってた」。「よし!今度、彼女が乗るときは、俺に仕事を回せよ」。

また、あるバーの前に基点地を持つモトサイの男が言った。「××GOGOバーの、ニン(仮名)。あいつ、ついに彼氏と別れたらしいぜ。お前、あの子のこと、色が白くて可愛いって言ってたじゃん」。「まじで?」。「うん、カラオケで働いてたあの彼氏、他に女作って、彼女捨てられたらしい。昨晩、仕事終わりで彼女をディスコまで乗せたんだけど、もう男はウンザリって叫んでたよ」。「よし、じゃあ今度、電話番号でも聞いてみるか」。

バーの前に基点地を持つモトサイは、そこで働く娼婦たちと普段から会話をしている。たまには、近くの屋台で食事を共にする。彼女たちが、いつ、何時に、どんな客に連れて行かれたかも知っている。そして、彼らは、隙があれば彼女らを口説きにかかる。

あるソイに基点地を持つモトサイの男が言った。「あそこのアパートに引っ越してきたオー(仮名)、可愛くない?」。仲間のモトサイが言う。「いいよねぇ!あの子、細くて」。「俺、いっていいか?」。「お前しばらく女とやってないしな。いいヨ、いけヨ。あの子、けっこう夜の仕事長そうだしな。口説き落とすの簡単なんじゃないの。おっ、ちょうど彼女出て来たぜ!」。モトサイの男は、彼女を店まで送る。その途中、「ねぇねぇ、今、彼氏いるの?」。彼女が言う。「田舎にいるけど」。「まだ、連絡は取り合ってるの?」。「週に一回ぐらいかな。でも、彼、いい男だし浮気者だから心配なの」。

「今日、仕事終わったら遊びに行かない?」。「え~やだよ、彼氏いるって言ってるじゃん」。「いいじゃん!飲みに行こうよ。俺がおごるからさぁ」。「う~ん、じゃあ友達もいい?」。「OK!俺も一人連れてくるよ」。「OK!」。そして、彼女の店に到着すると電話番号交換、そして、「じゃあ2時過ぎに迎えに来るよ、モトサイ代はサービスね」。「サンキュー!じゃあ、あとで」。タイ人とはこんなフランクな感じだ。

彼らモトサイの男たちは、あなたよりも彼女と接する機会が多いのが現実である。あなたの知らない所で、彼女を口説いているのが現実である。あなたの知らない所で、恋人同士になっているのが現実である。全てのモトサイが、そうだとは言えないが、こういう現象が驚くほど多いのがパタヤなのである。

カラオケから仕事を転身したモトサイ男。貢ぐクンと化して、売春婦彼女の帰りを待つモトサイ男。新たな彼女を探すべく、売春婦たちの様子を常に伺っているモトサイ男。

あなたの可愛いタイ人彼女は、もう彼らの手中にあるのかもしれない。

 

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