タニヤといえば、皆さん周知の通り、バンコクにある日本人街。そこには、百軒近くにも上るカラオケクラブがあり、いわゆるタニヤ嬢と呼ばれる人種が存在する。もちろん彼女らの中には、完璧な日本語を操るやからも少なくない。でも、所詮はタイ人。というわけで、そんな彼女らが話す、日本語のくせを考察してみよう。
先ず、タニヤ嬢が、店に来て覚える単語。それは以下のようなものからだろう。「イラサイマセー」、「コニチワ」、「ワタシ」、「アナタ」、「ママサン」、「オミセ」、「カワイ」、「カッコイ」、「アリガト」、「ニホンゴ」、「シゴト」、「ツカレタ」、「スキ」、「アイシテル」、「ウワキモノ」、「ダメ」、「ワカラナイ」など。で、これらにタイ語や英語をミックスすることから始まる。
●「ワタシ、マー、オミセ、ティニー、シゴト、ニッノイ」→「私はこの店に仕事に来てまだ間もない」
●「ワタシ、パイ、ニホンゴ、スクーン、エブリデイ」→「私は毎日、日本語学校に行っている」
まあ、こんな感じで日本語の語彙を徐々に増やしていくのだろうが、やっぱり所詮はタイ人。いくら上手に日本語を操る子でも、思わずタイ語が混じっているというもの。先ず、多いのが、タイ語での会話でも使用頻度の多い「チャイマイ?(そうでしょ?)」を語尾につけてしまうパターン。
●「アナタ、カッコイ。プージン、イッパイ、チャイマイ?」→「あなたはハンサムだから女いっぱいでしょ?」
●「アナタ、タルゥング。ウワキモノ、チャイマイ?」→「あなたはスケベだから浮気者でしょ?」
また、タイ語を知らない人には「何か偉そうに話しているなコイツ・・・」と思われてしまいがちだが、実はタイ語の語尾に使われる「ナ」という単語を思わずつけてしまっているパターン。
●「ニホンゴ、ムズカシイナ」
●「アナタ、カッコイナ」
よく耳を澄ませば、推量疑問形で使う「ロー(~じゃないの?/~でしょ?)」という単語を語尾につけてしまっているパターンもある。
●「アナタ、ワカラナイロー?」→「あなたは分からないの?」
●「アナタ、ワタシ、スキジャナイロー?」→「あなたは私を好きじゃないの?」
面白いのは、疑問形で話しているつもりだが、命令形風になってしまっているもの。
●「ワタシ、ココ、スワッテイイカ?」
●「ワタシ、ドリンク、ノム、OKカ?」
ほほえましいのだが、なぜか微妙に腹が立ってしまう。
●「ワタシ、オバサンデショー」とか「アナタ、ジョーダンデショー」だとか、妙に「デショー」を連発するやつも多い。これも何か腹が立つのは僕だけであろうか。
タイ語でよくある復唱系もありがちだ。
●「ワタシ、シゴト、イッパイ、イッパイ、ツカレタ」
タイ語にある「ワー(~と、~という)」と同じ感覚で「ワー」を使用する場合も多い。
●「ワタシ、ニホンゴ、ハナス、ワー、ワカラナイカ?」→「私が話す日本語は分からない?」
とまあ、タニヤ嬢が話す日本語も実際、愛嬌のあるものである。というわけで、最後に上記全てをおさらいした上での問題文。分かった人は、タイに通じていて、しかも、タニヤに通いまくっている人でしょう。(多分)
■問題:以下のタニヤ語を解読しなさい。
「ニホンゴ、ムズカシナー。テーワー、ワタシ、ベンキョー、イッパイイッパイ、スル。ナンデ、ワカルカ?ワタシ、アナタ、スキ、チャイマイ。アナタ、タイゴ、ハナス、ワー、ニッノイ、チャイマイ?ワタシ、トゥックワン、シゴト、ドゥワイ。ツカレタ。ソウデショー?テー、アナタ、パイティアオ、ミープージン、ユォユォ。ウワキモノ、ワタシ、ワカラナイナー。ター、アナタ、ウソツキ、ワタシ、タイボクシング、ナー!
■答え:解読すると―
「日本語は難しい。でも私はいっぱい勉強する。なんでか分かる?私はあなたのことが好きだから。あなたはタイ語を少ししか話せないから。私は毎日仕事もしている。疲れるわけでしょ?でも、あなたは遊びばかりで女も多い、浮気者、私にはそれが分からない。もし、あなたが私にウソをついていたらムエタイのようにコテンパンにしちゃうからね」
※タニヤ好きなみんなも彼女らの話す日本語によく耳をすませてみよう。